【コラム】Vol.03 箱猫 / 猫さんに関するあれやこれや
Vol.03 箱猫
こんにちは!猫とも新聞です。
7月5日に総務省統計局から令和初の「家計消費状況調査」が発表されました。発表に際しては、特別に『ネットショッピングの状況(二人以上の世帯)』と題されたリポートも添えられています。これによると、ネットショッピングへの支出額は10年前の115.6%に増えているそうです。どうりで家の中に段ボール箱が増えていると思った…。そう。箱といえば猫さんです。
猫とも新聞では、以前、いかに猫さんが箱好きかを検証しました。そこで、今月は猫とも新聞15号の巻頭記事をご紹介いたします!!
猫さんはどうして箱が好き?
通販でお取り寄せしたり、親類からの荷物が届いたり。それは人にもうれしいことですけど、猫さんにとっても一大イベント。だって、それらの荷物は箱に入って来るんだもん♪
ご存じの通り、猫さんは大の箱好きですから、うっかりしてると、まだ荷物を取り出さないうちから猫さんが箱の中に鎮座ましましているという事態にも。
それだけならよいですが、すっかり飽きた頃合いを見計らって段ボールを潰そうとすると、今まで見向きもしなかった猫さんが再びご執心になるのが困りもの。リビングに意味なく、空の段ボールが転がっていたら、間違いなく猫飼いさん。それも、猫さんのいいなりになっている心優しき飼い主さんです。
それにしても、猫さんは、なぜ空き箱が好きなんでしょうか。
猫さんの箱好きは筋金入り
猫さんが箱好きである理由には諸説あります。が、どれも猫種としての起源に由来するもの。DNAに書き込まれてるといっても過言ではありません。筋金入りなのです。つまり、リビングの段ボールが片づくハズがないのです。
いくつかの説をご紹介しましょう。
【だって優秀なハンターだから…「狩りの習性」説】
最もよくきかれるのが、この説。敵に見つかりにくく、エモノにも気づかれにくい、木のうろや茂みなどの狭?い場所をすみかやねぐらにしていた先祖伝来の習性が、猫さんを狭い場所好きにしているというもの。エモノを待ち伏せする狩りのスタイルを思い起こせば「なるほど」とも思うのですが、箱に入った猫さんってのんびりくつろぎ過ぎてません? あれが狩りの一部だとは到底思えないんですけれど。
いやいや。近くを通りかかると突然手が出てきて「チャイ」されたりしますから、やっぱりハンターなのかな。「このぉ」なんて怒るとうれしそうな顔、しますよね。
【狭いところは心の故郷…「砂漠生息時代の名残り」説】
猫の先祖は、中東に生息するリビアヤマネコといわれています。
そこで、リビアの砂漠に暮らしていた頃、猫さんは砂漠の中でようやく見つけた、狭ぁい岩場を住み処にしていた。だから、猫さんは今でも狭い場所が好きなんだという説もあります。
でも、でも、リビアヤマネコの生息地は、半砂漠から熱帯雨林までと広範囲ですので、一概に砂漠だけで暮らしてたとはいえないんじゃないかなぁ。こうなると、俄然、「ハンター時代の名残り」説が信憑性を帯びてくる。
13万年前(言いにくいです。声に出して読んでみましょう)のことだから、なおさらわかりにくくなってます。
【くっついてないと不安なの…「さわってると安心」説】
最後に、「猫さんは身体の一部がなにかに触れていると安心するから」という説をご紹介しましょう。これも野生時代に狭い場所で暮らしていた頃の名残りなのかも。
特に、背中がなにかに触れていたり、誰かにさわっていてもらうと安心するみたい。これなら、背後から襲われることがありませんからね。ほら、私たちだって、お風呂に入って髪を洗ってるとき、フッと不安になることがありませんか?後ろに誰か立っていたらどうしようなんて…。
でも、猫同士ってしょっちゅうくっついて寝てるし、このあたりもかんがみると、野生時代の名残りというより仔猫時代の名残りなんではという推測も成り立ちます。
どっちにしろ「くっついてないと不安」というのは実に可愛らしい。
ちなみに、野生時代の名残りという根拠として、箱の中で寝ていても顔だけは表に向けているというのがあります。つまり、「睡眠中も警戒を怠らない」というわけ。うぅむ。単に箱のフチをあご枕にしているだけにも思えますが…。
あなたはどの説を信じますか。
今後の動物行動学者の研究が待たれます。
検証大実験!!
猫さんはどのくらい小さい箱まで入れるか?!
猫さんは箱ならなんでもいいらしく、どんな小さな箱でもとりあえず入ろうと果敢にトライなさいます。「それは君には絶対ムリでしょう」という大きさの箱にもです。
そこで、2011年7月、東大宮の猫カフェ「猫の部屋」さんの協力を得て、「どこまで小さい箱に入れるのか」を大検証。「どのくらいの大きさまでトライするのか」と「入れるのか」を実験しました。
ちなみに「入れたか入れないか」の『入った認定』は、『猫さんが入った気になったかどうか』で判断します。ほんのちょこっとしか入ってなくても、猫さんが入ったと言えば入れたのです。そこのところ、ご了承くださいませ。
【用意した箱】
●【特大】
某文房具通販会社のA4コピー用紙500枚束が10冊入れられる段ボール箱。
サイズ:幅43×奥行30.5×高さ21cm
●【大】
今回用意した中では、一番人気予想の手頃な大きさ。猫4~8匹は収納可能(予定)。
サイズ:幅36.5×奥行25.5×高さ16cm
●【中】
可もなく、不可もなく、目立たないけど根はまじめ。そんな印象の段ボール箱。
サイズ:幅29.8×奥行20×高さ15cm
●【小】
これに猫さんがみっちり入ったら、それはそれは可愛いだろうなと選んだ一箱。
サイズ:幅22.5×奥行15.8×高さ13cm
●【タテ】
まずはタテに置いて実験。タテのまま、ジャンプでイン!したら儲けもの。
サイズ:幅25.8×奥行13.8×高さ31cm
●【ティッシュボックス】
うっかりエコタイプの薄いヤツしか用意できなかった痛恨の一箱。
サイズ:幅23.7×奥行11.5×高さ5.2cm
●【神戸コロッケ】
デパ地下や駅ビルでお馴染み。招喜家一家が描かれた箱。洗っておいた。
サイズ:幅13.5×奥行9×高さ5.8cm
●【菓子箱】
なんのお菓子だったかが不明。この薄さが『入った認定』にどう影響するか?
サイズ:幅14.8×奥行7.8×高さ3cm
●【トリュフ】
トリュフが2粒入るギフトボックス。中の仕切りは外して実験。
サイズ:幅9×奥行4.8×高さ4cm
●【マッチ箱】
今は懐かしのマッチ箱。ニオイが取れるよう、中身は出して干しときました。
サイズ:幅5.7×奥行3.4×高さ1.5cm
いざ! 実験開始!!
綿密な計画と万全の用意で臨んだ実験当日。実験日には、比較的お客様が少なくて、猫さんたちが活動的な平日の午前中をあてm、あした。ドアのこちら側から室内を覗くと、おお、元気、元気。みなさん、はつらつと駆け回っていらっしゃいます。
段取りとしては、カメラを一台固定して定点観察。その後、10種の箱をひとつずつ検証する予定。
でしたが。
「三脚を立ててるそばからストラップに飛びつくんじゃありません!」「重ねた箱がすでに猫さんでいっぱいです」「猫さんが全然どいてくれませんっっっ」
猫さんを整列させて用意のドンで箱を置くなんてことはカケラも思っちゃいませんでしたが、それでも、あまりな段取り無視。テーブルに置いた途端の争奪戦は、下の写真をご参照ください。
ダレだ、ダレだ、箱を置いてから興味を示すまでの時間を計測するとか行ったヤツ。あ、私です。
計測タイムは、10種類すべて、
●興味を示すまで 0秒
●入るまで 0秒
でございます。アッチョンブリケ(古)。
一箱ずつ検証
とはいうものの、「以上の実験結果から、猫さんは箱が好きなのが実証されました」では芸がなさすぎですので、ひとつひとつ検証してまいりましょう。
●【特大】
テーブルにおいた瞬間から、猫さんがワラワラ寄ってくる。仕切り直して、床に降ろしても事態は変わらず。大争奪戦が繰り広げられました。こぉんなに大きな箱なのに、なぜか一人で占有したいようで、見事勝利した仔が一匹で陣取る構図に。周りの子が入ろうとすると、「取っちゃヤダ」攻撃を繰り出します。どっか行ってる間に取られちゃうんですけどね。
●【大】
予想通りの大人気。順番待ちができるほどなれど、いったん入ると「自分の」と自己主張。ふと傍らを見やれば、上を下への大騒ぎをよそに出番を待つ箱たちを独り占めしているちゃっかりさんが…。
●【中】
みんなが荒らすだけ荒らした後、トテトテやってきたのが短足マンチカン。がんばって入ろうとするんだけど、足も手も短い分だけ届かない。涙を誘われ、つい手を差し伸べて中に入れてあげました。わずか15㎝もマンチカンにとっては高い壁なのね。
●【小】
奪い合いの挙げ句に倒されました。倒れてなお人気の小さなサイズ。ぴったりサイズは気持ちが落ち着くんでしょうねぇ。見ているこちらまでウットリしてしまう「みっちり感」。ザ・箱猫という写真が撮りたい向きは、幅22×奥行16センチを目安になさってください。
●【タテ】
タテのままの状態にジャンプして入ってほしかったのだけれど…。無惨、12秒で横倒しに。「倒されたときに、裏側のガムテープが見えなければいいけど」というイヤな予感通りに、裏面を上に倒してくれやがりました。いったん横倒しになると、順番待ちが出る人気ぶり。
●【ティッシュボックス】
やっぱり薄かった。昔ながらのティッシュボックスを見繕うべきだった。興味はあるけど、入れない。でも、果敢にトライする猫さんズ。〝「入ったつもり」は『入った認定』〟のルール通り、入ったと見なします。証拠写真です。
この後、箱は上部を折り曲げて内寸を大きくしました。
入った!
…。あの。抜けないんですが。
●【神戸コロッケ】
尋常じゃない人気で、スグに乗られて潰されました。何度も組み立てては潰され、の繰り返し。人類の鼻では感知できないのですけれど、ニオイが残ってたのかなぁ。それとも、穴あき形状のフタがそそるのでしょうか?
入りました。
●【菓子箱】
このサイズなのに、なんで入ろうとするのかな。この薄さでは、「乗る」とも言いますけれども。どうしても入りたかったのでしょう、大きな友達を押しのける仔猫ちゃん。
いったん自分の物にしたら、この居丈高な威嚇振り。
●【トリュフ】
物理的に入れないサイズです。でも、入ります。頑張ります。頑張ってる間にオモチャと化します。炸裂する猫キック!吹っ飛ぶトリュフ箱!でも、入れました。
●【マッチ箱】
ふざけているわけではありません。今回の目玉としてエントリーされたマッチ箱。猫さんの箱好きが本物なら、この大きさでも入ろうとするはず。今、まさに、猫さんの箱好きが試されようとしているのです。入った!入りました!!誰がなんと言おうと入ってます。しかも、すっかりくつろいでます。
実験総評
●10cm以下はオモチャと見なされがち
●マンチカンは非常に不利
●ニオイ付きは大人気
【結論】どんな大きさでも猫さんは入ったつもりになれる
記事協力 / 猫とも新聞
2019年7月23日更新