【コラム】Vol.04 肉球くるっと可愛いニャンコの目 / 猫さんに関するあれやこれや

猫に関するあれやこれや

Vol.04 肉球くるっと可愛いニャンコの目

お暑うございます!猫とも新聞です。
今月からしばらくの間、猫さんのカラダについてテッテ~解剖してまいりたいと思います。猫さんのカラダシリーズ・第1弾は「目」。顔と比較して大きな猫さんの瞳は私たちを魅了してやみません。暗闇の中で光る目。光の量に合わせて変化する瞳孔。猫の瞳は不思議に満ちています。細くなったり丸く満ちたりすることから、その目はよく月との関連性をいわれてきました。
月の美しいこの季節。猫さんの目について、2011年10月発行の猫とも新聞17号の巻頭記事を一部改訂・補足してお届けします。

 

 

魅惑的な大きな瞳

私たちの心を釘付けにする猫さんの目。弊誌のアンケート結果では、その理由として、『目ヂカラが魅力』という答えが圧倒的でした。
もともと夜行性のハンターだった猫さんは、顔の大きさと較べると大きな目を持っています。この大きな瞳が、人を魅了してやまないのでしょう。
仕組みは、後述しますが、この大きな目が光量の少ない夜でもよく見える秘密。身体の割に大きい目で光を有効活用しているのです。
同時に、この大きな瞳が人に甘えるときの武器にもなっています。こちらをじっと見つめた挙げ句、「にゃん♪」と小首をかしげられると、人は愛する猫のために重い腰を上げざるを得ません。

 

満ち欠けする神秘

光の量に合わせて細くなったりまん丸くなったりする瞳孔も、人の心を捉えてきました。月の満ち欠けとの類似性から、月の使者であるとされたり、関連づけて考えられました。
宝石に光の効果で猫の目のような模様がでる現象は、そのまま「キャッツアイ効果(シャトヤンシーもしくは変彩効果ともいいます)」と呼ばれています。キャッツアイ効果の出る宝石としては、なんといってもアレクサンドライト・キャッツアイ。とても手が出そうにないお値段で売られています。アレクサンドライトはクリソベルの一種で、クリソベリル・キャッツアイも有名です。クォーツやトルマリン、オパール、ムーンストーンなどにもキャッツアイ効果を持つ石が見られます。

ネコセカイ肉球くるっと可愛いニャンコの目

丸い中に一条の筋が入ると、人は「猫の目」と名付けたがるようで、種子が熟して裂けてくる様子から『猫目草』と名付けられた植物があります。ユキノシタ科の多年草で、「ねこのめそう」と読みます。山野の水辺に多く見られるようです。青紫色のツユクサに似た花にタテに白い線が入るブルーキャッツアイという花もあります。

ネコセカイ肉球くるっと可愛いニャンコの目

小悪魔的な魅力がある猫の目は、女性の憧れ。一時期、目尻をくっと上げた太めのアイラインで猫目を表現する「猫目メイク」が人気で、化粧品メーカーも各社こぞってリキッドアイライナーを発表していました。

ネコセカイ肉球くるっと可愛いニャンコの目

ちなみに、仔猫時代はどの猫さんの瞳もみんな青です。『キトンブルー』といわれます。仔猫の虹彩には色素が極端に少ないため、青く見えるのですが。やがて虹彩に色素がつき始め、生後6週から2ヶ月になる頃までに、その仔が持つ本来の瞳の色へと変わっていきます。

ネコセカイ肉球くるっと可愛いニャンコの目

 

険のある眼差しの魅力

猫好きには、たまらなく魅力的な猫の瞳ですが、キライな人は、まさに目が怖いといいます。野良さんなど、こちらが見えなくなるまでじっと見つめていて、何度振り返っても目が合いますよね。あれがイヤなんだそうで。
屋外で暮らす仔は、目に病気を持っていることも多く、また、眩しい場所では目が針のように尖っていますから、キライな人には睨むような目つきに見えるんでしょうねぇ。
ところが、猫好きさんの愛は深く、険のある眼差しも好かれています。
作家・米田民穂さんの描く猫さんたちの目つきの尖っていること。ところが、このスクラッチ君のぬいぐるみやグッズが大人気なんですよ。
写真は、スタッフの私物。バッグの表ポケットから、ちょうど目の辺りだけ出るように細工して、持ち歩いておるのです。
米田さんのぬいぐるみは、仕様は違いますが、necosekaiさんの実店舗でも買うことができます。

ネコセカイ肉球くるっと可愛いニャンコの目

 

「不思議」の仕組み

なぜ瞳孔の大きさが変わるのか、なぜ夜光るのか。仕組みを知れば、不思議の理由がわかります。

基本の仕組み

もともと夜行性の猫さんは、夜目が利きます。暗いところでは多くの光を取り入れようと瞳孔の面積を大きくし、明るいところではその面積を縮めて光があまり入ってこないように調節します。

どうしたら、こんなことができるのでしょう。目の仕組み図をご覧ください。

ネコセカイ肉球くるっと可愛いニャンコの目

物体から反射した光は、瞳孔を通ってレンズの役割をする水晶体へと届きます。キャッチした光は、網膜で電気信号へと変換され、視神経を通って大脳後部にある視覚中枢へと情報を伝達するのです。

この「瞳孔」ですが、これは文字通り、「孔(あな)」のこと。角膜と水晶体の間には「虹彩」という薄い膜があって、穴が空いています。コレが「瞳孔」です。

人の瞳孔は丸い形をしていますが、猫さんのは縦型の切れ目(スリット)が入っています。縦型スリットの方が、瞳孔を素早く開閉でき、しかも、より大きく開くことができるのだそうです。猫さんの場合、なんと、目の大きさの90%まで瞳孔を開くことが可能だとか。まん丸目になったとき、確かに目全体まで瞳孔が全開になってます。夜間は、このように瞳孔を全開にして、少しの光でも見えるようにしているんですね。

逆に、昼間の強い光では、目にダメージを与えかねません。そこで、虹彩がギュッと縮んで瞳孔を絞ります。縦型スリットなので、瞳孔が縮んだ猫さんの目は針のように細くなるというわけ。よくできてるな~。

 

基本性能

◆視力

猫さんの視力は、あんまり良くなくて人の1/10くらいと言われています。人間の視力の標準が1.0ですので、猫さんのそれは視力0.1ってこと。猫さん全員近眼なんですね。

猫さんの目はぱっちり大きいんですが、レンズである水晶体を動かす筋肉が発達してなくて、ピントを合わせにくいのです。

人は、物が動くと目玉を動かして目で追いかけることができますが、猫さんはそれができないので、頭を動かして物を追いかけます。猫じゃらしを左右にパタパタすると、猫さんが顔ごと左右に振るのはそのためなんです。

◆動体視力

視力は人より劣る猫さんですが、動体視力は優れています。映画は1秒間に24コマの画像から成り立っています(ちなみにテレビは1秒間に30コマ)が、一説では、猫さんにはこれが紙芝居を見るように1コマずつ止まって見えるそうです。

◆暗闇での視力

猫さんの目には、網膜の下に「輝板(タペタム)」と呼ばれる反射層があります。この層がわずかな光を反射して視神経に伝えるので、暗闇の中でも物が見えるのです。その性能は、人間が必要とする1/6の光でも物が識別できるほど。さすが、暗闇を行く名ハンターです。

猫さんを写真に撮ると、目がランランと光っていることがありますが、それは光が輝板に反射しているためなんですって。

夜でもよく見える分、猫さんの目は非常に敏感。強烈な光に弱くできています。真っ暗な中で突然フラッシュ撮影をしたりすると、失明の危険があるので要注意です。

◆視界の広さ

視界の広さを表す「視野」には、片目だけで見える範囲を示す「単眼視野」と、両目の視野が重なって物が立体的に見える「両眼視野」、正面を向いてどの範囲まで見えるかを示す「全体視野」があります。全体視野は、人で210度くらいですが、猫は250~280度(諸説あるのです)もあり、斜め後ろにいる獲物もしっかり見えていることになります。

鹿などの草食動物(狩られる側)は背後から襲われないように目が両脇に付いていて単眼視野が広く、後ろまで見られるようになっていますが、猫さんのような肉食動物(狩る側)は、顔の前面に目がついているので、両眼視野が広く、距離感を正確に掴むようにできています。

【猫の視野】

全体視野:約280度

両目視野:約130度

 

◆色の判別

網膜には、色を判別する「錐状体(すいじょうたい)」と呼ばれる細胞があります。 人間には3種類の錐状体があってさまざまな色を識別できますが、猫さんには2種類の錐状体しかありません。ですから、人ほど鮮やかな色彩は認識していないと思われます。

では、どのくらい見えるのか?

以前は「色盲」という説もありましたが、今では、もう少し見えているのではないかといわれています。ある実験では、青と緑は識別したが、赤や茶はできなかったと報告されています。別のリポートでは、光の三原色の内、青と緑と赤のすべてを一応は認識できるが、赤は薄いピンク色程度に見えていると記載されています。

まだまだ研究の予知がありそうですが、思ったよりも見えている、ということでしょうか。

 

瞬膜

猫さんがぼーっとしていると、目の鼻寄りのはじっこに白い物が見えることがあります。これは「瞬膜」といって「第3眼瞼(がんけん)」、つまり3つ目のまぶたといわれるものです。ふだんは目の中に隠れていますが、寝入りばななどリラックスした状態の時に出てくることも。

この瞬膜、まぶたといいながら上下ではなく、横に開閉します。猫には「まつげ」がありませんが、「瞬膜」がその代わりとなって、眼球を異物から保護し、涙を眼球表面に行きわたらせています。

この瞬膜が常時露出している状態は「瞬膜露出症」(通称チェリーアイ)と呼ばれる病気です。目の病気を抱えやすい野良さんなどには、瞬膜が出っぱなしの仔がいますよね。こうなった場合は、早めに獣医さんにご相談ください。

ネコセカイ肉球くるっと可愛いニャンコの目

 

目は口ほどにものをいう

猫さんの瞳孔が細くなったり丸くなったりするのは、光の過多によるものだけではありません。「気持ち」でも大きさを変えることがあるんです。

太刀打ちするのが難しそうな敵に遭遇したり、大好きなゴチソウが目の前に出されたりすると、もっとよく見ようとして瞳孔が大きく開きます。これには、副腎髄質から放出されるアドレナリンが作用しているといわれています。

猫さんを抱っこしているときも、瞳孔が大きくなることがありますが、抱っこがうれしくて興奮しているのか、あなたから逃げたくて興奮しているのか、それは、状況やふだんの猫さんとの関係から判断するしかありません。

 

目の社会的役割

敵と遭遇、といえば、知らない猫さん同士の場合、目を合わせる行為は敵意を意味します。問題ごとを起こしたくないときは、相手からそっと目をそらし、体も背けてその場を離れるのが、猫紳士のルール&マナー。

抱っこしている猫さんと目が合うと、両目でウィンクするようなときがありますが、あれは友好の気持ち。

猫さんたちは、平和に暮らすために、アイコンタクトを上手に使っているのです。

 

猫の目時計

昔、猫の目は時計として利用されていました。

フランスの詩人・ボードレールがそのエッセイ集「パリの憂鬱」の中で、「シナ人は猫の目のうちに時間を読む」と書いています。ある宣教師が中国で少年に時間を聞いたところ、大きな猫を抱えてきてその目を示し、「まだきっちり正午にはなっておりません」と答えたそうです。

この技は、日本にも伝わっていて、忍者が使っていたという説や島津義弘公が朝鮮出兵の際に時計代わりの七匹の猫を同行したという説も。

江戸後期から明治にかけて編纂された国語辞書『和訓栞』(わくんのしおり/谷川士清著他著)には「六ツ丸く四八瓜さね五と七と玉子なりにて九ツは針」という数え歌のような言葉が載っています。同時代のことわざ辞典『譬喩尽』にも同じような記述があるそうで、こちらは「六ツ円ク、五八卵ニ、四ツ七ツ柿ノ核也、九ツハ針」。

これを、現代の時間に合わせて図解したのが下の図です。

ネコセカイ肉球くるっと可愛いニャンコの目

瞳の色

◆猫さんには白目がない

猫さんの目の色は「虹彩」の色です。人の場合、虹彩の周りに強膜(白目)がありますが、猫さんの眼ヂカラが強いと感じさせるのは、白目がないためかもしれません。「黒目がちの大きな瞳」などといいますが、猫さんは「全部瞳」なのです。

ネコセカイ肉球くるっと可愛いニャンコの目

◆虹彩の色

猫さんの目にはゴールドやオレンジ、深い碧などさまざまないろがありますが、基本的には「ヘーゼル(はしばみ)」、「カッパー(銅)」、「グリーン」「ブルー」に大別されることが多いようです。

青い目は、白猫とシャム系の猫さんに多くて、特に、白猫が青い目をしている場合、高い割合で聴覚障害を持っているといわれています。色素の欠乏に関係する遺伝子が、「コルチ器官」という内耳の蝸牛管ないにある聴覚の受容器に影響を及ぼし、その内部にある分泌液の量を欠乏させてしまうからだと考えられています。

ただし、青い目は色素が不足しているので、体内でビタミンDを作るのに欠かせない太陽光線を多く吸収できるため、日照の少ない地方では有利。

<イエロー系~ブラウン系>

ヤマネコに非常に近い色。色が濃いめの「カッパー」では、お年を召されると褪せることがあるそうです。

<グリーン系>

緑の目の仔も、仔猫時代はブラウンかイエローをしていることが多いようです。

<ブルー系>

青い目の猫は、陽光に乏しい地域で多いのだそうです。シャムの起源は北アジアの日照が少ない地域にあるといわれるという説も。

ネコセカイ肉球くるっと可愛いニャンコの目

 

オッドアイ

左右の眼の色が違う「オッドアイ(Odd Eye/奇妙な目)」を持つ猫さんもいます。

片方が黄色でもう片方が青色の猫さんは、日本では『金目銀目』と呼ばれて、縁起がよいものとして珍重されてきました。

このオッドアイも、白猫の場合、青目側の耳に聴覚障害があることが多いようです。

ネコセカイ肉球くるっと可愛いニャンコの目

 

盲目の猫

猫さんは、目が見えなくても、やさしいご家族がいれば充分に暮らしていけます。以前、保護猫シェルターで出会った「めんめ」ちゃんは病気のため、眼球を摘出した盲目の猫でした。が、聴覚やヒゲなどの触覚で上手にカバー。空気の流れなどの微妙な信号をキャッチして、元気に遊び回っていました。

写真は、シェルターに保護されていた頃のめんめ王子。鈴のついた猫じゃらしにも素早く反応しています。

ネコセカイ肉球くるっと可愛いニャンコの目

 

記事協力 / 猫とも新聞
2019年9月26日更新

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