【コラム】Vol.19 白猫姫 〜麗しのスノーホワイト〜

猫に関するあれやこれや

Vol.19 白猫姫 〜麗しのスノーホワイト〜

この世の中で一番描きやすい猫、それが白猫さんです。なにしろ輪郭を取るだけですから。その分、画家の力量が問われる色柄とも言えます。
雪が地面を美しく包んでくれるように、白猫もまた気高く、美しい。そんな白猫さんの謎に迫りましょう。今月号は、2014年12月号の巻頭特集を加筆・抜粋してお届けいたします。

Photo by M_Marianne Perdomo

 

 

白猫さんとアルビノの違い

白猫さんというのは全身の毛が白い猫さんのことです。
当たり前じゃないかと怒ってはいけません。猫さんの毛を白くする遺伝子は、とっても神秘的なのです。
自然界には、白い生き物がたくさんいます、白蛇とか白ワニとか白鯨とか白ウサギとか白孔雀とかホワイトタイガーとかホッキョクグマとか…。このうちの多くが「アルビノ」と呼ばれる遺伝子疾患で、メラニン色素が欠如しているため、毛は白く、眼は赤くなるのです。彼らは、「白い」のではなく、「色がない」状態なのです。
一方で白猫さんは、「白色遺伝子」があるので白くなります。「色がない」から白く見えるのではなく、毛が白色なので「白い」のです。前出の白い生き物のうち、白孔雀やホワイトタイガー、ホッキョクグマなどは、白猫さんと同じく、白色遺伝子によって白くなっていて、アルビノではありません。
こうした「白色遺伝子」の持ち主は、色素のないアルビノと違って眼が赤くなりません。アルビノの目は毛細血管の色が透けて赤く見えるのですが、「白色遺伝子」を持つ生き物は虹彩に色があるので、下の血管が透けないんです。
では、猫さんにはアルビノはいないのでしょうか。
もちろん、猫さんにもアルビノの仔は存在します。その場合、虹彩に色素がないので、下の仔のように眼が赤く見えるんですよ。

 

 

白猫遺伝子は最強です

白猫さんの毛の色を白くする「白色遺伝子」は、別名を「マスキング遺伝子」とも言って、最強の遺伝子なのです。
白猫さんだって黒い毛や茶色い毛の遺伝子も持っているのですが、「白色遺伝子」があると、黒や茶色は出てきません。白色にマスキング(遮蔽)されてしまうからです。黒色遺伝子によって黒猫になるはずの全身を、白で真っ白に塗りつぶされるイメージです。
でも、黒や茶の遺伝子は内蔵されているので、仔猫に「白色遺伝子」が伝わらなければ、白猫さんから黒猫やサビ猫が生まれてくることもあるわけです。神秘的ですね。

 

 

白猫と茶白は似て非なるもの

猫さんのなかには「キジ白」とか「茶白」とか、身体の一部分だけが白い仔もいます。この仔たちには「白色遺伝子」はありません。全部を塗りつぶすのではなく、部分的に白くする「白斑遺伝子」という別の遺伝子によって、茶白やキジ白が誕生するのです。
猫さんの毛の「白」は本当に奥が深いのです。

Photo by hisashi キジ白のノラさん

 

 

白猫さんと聴覚障害

「白色遺伝子」は聴覚障害と結びつくことがあって、白猫さんには先天的に耳が聞こえない仔がいます。特に虹彩が青い仔に多く、両目が青くて毛が白い猫さんの聴覚障害発生率は65強~85%という研究があります。
白色遺伝子が耳の中の蝸牛管に悪影響を及ぼすといわれていて、聴覚障害のある仔の場合、生後数日目からこの器官が退化し始めます。すると、鼓膜から伝わってきた音の振動を中枢神経に伝えることができなくなってしまうのです。

 

 

白猫さんは悪い母?

耳が聞こえない白猫さんは、仔猫の鳴く声に反応できず、「仔猫を放っておく悪い母」という悪評があります。でも、動物行動学者のデズモンド・モリスは「(耳の聞こえない白猫さんは)音の方向を知る感覚が鈍いので不利だが、そのほかの点では正常な生活を送れるし、良い母にもなれる」と書いています。耳が聞こえない代わりに、足裏から伝わる振動に敏感になっている白猫さんは、「耳で聞く」代わりに「足裏で聞く」ようになるのだとか。
仔猫が甘えてすり寄ってくれば、耳が聞こえなくたってちゃんとお世話できますしね。

 

 

繊細で慎重派といわれます

人が白猫さんに抱くイメージは「神経質」「怒りっぽい」「ビビリで身体を触らせない」とネガティブなものが多いです。過酷な自然界で、とびきち目立つ「白」は敵から発見されやすく、そのため。常にビクビクしていて大きな音や動きに過剰に反応するという理屈です。
けれど、逆に言えば、不利な点があるからこそ、母猫や飼い主さんなど頼れる存在にはべったりの甘ったれになる可能性だってありますよね。それに、悪目立ちするという不利な条件を持ちながら生き延びてきた仔なら、頭脳だって明晰のハズ。
思いこみで悪口を言わないでくださいね。

 

 

ゴースト・マーキング

白猫さんには、仔猫の時代にだけ、身体の一部に灰色の毛が出ることがあります。これは、大人になると消えてしまうモノで「ゴースト・マーキング」と呼ばれています。中でも、頭部に現れるものは「キトゥン・キャップ(仔猫の帽子)」という名前が付いています。「白色遺伝子は他の色をマスキングする」とご紹介しましたが、仔猫の時代だけ、元の色が覆いきれずに顔を出すんですね。

Photo by Heinz Hintermann 頭部に2筋の灰色毛が見えます。

 

 

注意したい病気があります

白猫さんだけ特に罹りやすい病気があります。「扁平上皮癌」といって、皮膚や眼の角膜といった身体の表面や高校内に多く見られる病気です。色素が薄くて紫外線に弱いことが原因で罹りやすくなっていると考えられています。
ふだんから身体をチェックして、鼻や耳周辺がカサカサしているとか、擦り傷やかさぶたがなかなか治らないという場合には、獣医師さんにご相談を。

 

 

記事協力 / 猫とも新聞
2021年4月22日更新

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