【コラム】Vol.24 パステル猫さん

猫に関するあれやこれや

Vol.24 パステル猫さん

猫の毛色というのは不思議に満ちていて、ときたま、とっても淡~い色の猫さんを見かけたりします。この仔は三毛?それとも、他の毛色なの?
正解は「パステル三毛」。英語では「ダイリュート・キャリコ」とか「ダイリュート・トーティシェル」と呼ばれます。猫さんの毛の色を淡くしている遺伝子が、まさに〝ダイリュート遺伝子〟。
今月は、2016年5月号(通巻72号)の巻頭特集を加筆・抜粋して「ダイリュートの毛並み」についてお届けいたします。

撮影協力:埼玉県東大宮「猫の部屋」(2016年)

 

ダイリュートってなに?

次の仔をご覧ください。淡くてやさしい毛色がきれいでしょう。このような淡い色の毛並みは、ダイリュートカラーと呼ばれます。〝ダイリュート〟というのは「希釈」「薄める」という意味。本来の毛色より薄められた色彩です。

撮影協力:埼玉県東大宮「猫の部屋」(2016年)

 

色を薄める遺伝子

では、何によって毛色が薄められているのでしょうか。 それは、〝ダイリュート遺伝子〟によってです。
猫さんの毛色は、遺伝子によって決められています。
生物の時間に教わったように、遺伝子はお父さんとお母さんから半分ずつ受け継ぎます。
ダイリュートに関する遺伝子には、大文字で表される「D遺伝子」と小文字の「d遺伝子」の二種類があります。大文字のD遺伝子は「毛の色を薄めない」方向に働きます。小文字のd遺伝子が「毛の色を薄める」遺伝子なのです。
このダイリュートカラーに関する遺伝子も、お父さんとお母さんから一つずつもらって、ふたつで1組の遺伝子を構成します。前述のように、両親から半分ずつ受け継ぐわけですね。
ママからもパパからもDをもらった仔のダイリュート遺伝子は、「DD」となります。どちらかがdの場合、仔の遺伝子は「Dd」となります。
このように、ひとつでも「D」を持っていれば、毛色は薄くなりません。
毛色が薄くなるのは、お父さんからもお母さんからも「d」遺伝子をもらった「dd」型の場合だけ。

つまり、両親のどちらもd遺伝子を持っていたとしても、仔がパステルカラーになる確率は四分の一。そのうえ、d遺伝子を持っている猫さん自体が少ないので、パステル猫さんは、なかなかに珍しい存在なのです。
とはいえ、最近では結構見かけるようになりました。ロシアンブルーのように、ダイリュートカラーが定着した品種もいます。

 

ダイリュート遺伝子の魔法

では、具体的にどんな色がどんな色に変わるのでしょうか。

● Black / ブラック

漆黒の毛並みが美しい、ご存じ黒猫。『カラス猫』とか『熊猫』なんて名前もあります。

Photo by Nickolas Titkov

 

● Blue / ブルー

Photo by Volatilde

 

● Chocolate / チョコレート

写真の仔は、チョコレート色の猫の代表格・ハバナブラウン。被毛の美しさが人気です。

Photo by Dave Scelfo

 

● Lilac / ライラック

チョコレートのダイリュートカラーは「ライラック」または「ラベンダー」と呼ばれます。
その色彩は明るい色から濃いめまでバリエーションが豊富です。

Photo by Psihopat

 

● Cinnamon / シナモン

シナモンは、黒毛の突然変異で生まれた毛色です。劣性遺伝なので、対になった遺伝子の両方がシナモン遺伝子(bl遺伝子といいます)でないと発色せず、黒猫かチョコレート猫になります。

Photo by MiZe

 

● Red / レッド

日本では赤トラと呼ばれる毛並みは、レッドもしくはオレンジと呼ばれます。一般的なカラーで、しかもオスが多いため、アメリカでは「トム」といえば赤毛のオス猫を指します。

Photo by NVO

 

● Cream / クリーム

赤毛がダイリュートすると、逞しいオス猫のイメージとは異なるやさしいクリームに。シマ猫の場合、右の仔みたいな赤毛だと「レッドタビー」ですが、左の仔は「クリームタビー」と呼ばれます。

Photo by Heikki Siltala

 

● Fawn / フォーン

黒猫が薄くなったシナモンがさらに淡くなった「フォーン」とは子鹿のことです。パソコンやスマホで写真がすぐ補正できる今、シナモンと区別がつきにくくて苦労しました。

Photo by Aufnahme von Joachim Berger-Uelsberg und Dr. Gabriele Uelsberg

 

トーティーシェル(三毛)の場合

三毛さんがダイリュートすると、〝パステル三毛〟さんになります。ダイリュートした2色にホワイトを加えた三色を持っています。「ダイリュート・キャリコ」とか「ダイリュート・トーティシェル」とも呼ばれます。
ひとくちにパステル三毛さんといっても、柄の出方やクリームとブルーが占める割合で少しずつルックスが変わっています。遺伝子が持つオリジナルのカラーが黒と赤の場合は、パステル三毛さんの場合、黒がブルー、赤がクリームになりますので。ブルークリーム・トーティーシェルとなります。オリジナルカラーがチョコレートの場合は、ライラッククリーム・トーティーシェルです。
ここら辺の見極めは、ブリーダーさんでなければ難しいのですが、単に猫好きなだけの私たちにとっては、みんな天使の淡色猫さん。遺伝子の魔法が生んだ〝奇跡の毛色〟なのです。

 

 

記事協力 / 猫とも新聞
2021年9月22日更新

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