【コラム】Vol.34 猫さんとお水
Vol.34 猫さんとお水
お暑うございます、最近は、猛暑日か大雨か蒸すかのいずれかで、糸井暉次ヒマもございませんね。
今月は、先月に引き続き、「猫さんの進化」について、2015年8月号(通巻62号)の巻頭特集の後編をお届けする予定だったのですが、この辛い日々を乗り切るために、急遽「猫さんと水」について、刊行されたばかりの最新号2022年8月号(通巻146号)より、巻頭特集を加筆・抜粋してお届けします。
猫さんはあまり水を飲まない
砂漠育ちの猫さんは、あまり水を飲みません。水が少ない地域で育った生き物としての知恵というか、習い性というものでしょう。
猫さんは、直に水を飲むよりも、食べたエモノの体内から水分補給をするという選択をしました。ムダに体内の水分を失ってしまわないように、おしっこをためこむので、猫さんのおしっこは濃縮された濃いおしっこになります。
そうすることで、少ない水分摂取量でも生きられるように適応したわけなんですが、その分、腎臓などへの負担も多くなります。
ニッポンで暮らす猫さんには、なるたけきちんと水分補給をしてほしいもの。
この酷暑では、脱水症状や熱中症のリスクも高まりますから、なおさらです。
猫さんに必要な水分量は?
猫さんに必要な水分量は、下の計算式で求められます。
1日の水分要求量 = 1.2×70×(体重)0.75乗
つまり、体重が5㎏の猫さんの場合、1日にカラダが求める水分量は、「1.2×70×(5の0.75乗)」です。
えっ?0.75乗って、どうすればいいの?
まず電卓を用意して、5を三回かけます。5×5×5で125となりますね。そうしたら、次に”√”ボタンを二回押します。「3.34370…」と出ます。これが、5の0.75乗。
ですから、水分要求量は「1.2×70×3.34370」。を計算しましょう。「280.8708」となりました。ややこしいので小数点第一位を四捨五入すると「281」。つまり、約281mlが必要な水分となります。
猫さんに必要な「飲む水」の量は?
ところで、猫さんは、必要な水分を、「飲み水」「食事に含まれる水分」「代謝水」からを摂っています。
代謝水
代謝水というのは、摂取した栄養素からエネルギーを作る時にできる水分のことです。簡便に「体重×5」㎖と計算できます。5㎏の猫さんでしたら、5×5で25㎖ですね。
食事に含まれる水
食事に含まれる水分は、カリカリで10%前後、ウエットで75%前後です。ウェットフードを毎日150g食べる仔は、食事だけで112㎖、ドライフードだけを毎日150g食べる仔は、食事だけで15㎖の水分を摂ることになるのです。
まとめましょう。体重5㎏の猫さんに必要な水分総量は約281㎖。代謝水から25㎖、カリカリから15㎖の水分を摂ると、残り必要なのは241㎖。ウエットフードから112㎖の水分を摂れば、残りは144㎖で済む計算になります。
体重別1日あたりの水分摂取量早見表
- 猫の体重 4.0kg / 1日の水分要求量 238ml / 代謝水 23.8ml / 1日の水分摂取量 約214ml
- 猫の体重 4.5kg / 1日の水分要求量 260ml / 代謝水 26.0ml / 1日の水分摂取量 約234ml
- 猫の体重 5.0kg / 1日の水分要求量 281ml / 代謝水 28.1ml / 1日の水分摂取量 約253ml
- 猫の体重 5.5kg / 1日の水分要求量 302ml / 代謝水 30.2ml / 1日の水分摂取量 約272ml
- 猫の体重 6.0kg / 1日の水分要求量 322ml / 代謝水 32.2ml / 1日の水分摂取量 約290ml
- 猫の体重 6.5kg / 1日の水分要求量 342ml / 代謝水 34.2ml / 1日の水分摂取量 約308ml
- 猫の体重 7.0kg / 1日の水分要求量 361ml / 代謝水 36.1ml / 1日の水分摂取量 約325ml
- 猫の体重 8.0kg / 1日の水分要求量 400ml / 代謝水 40.0ml / 1日の水分摂取量 約360ml
猫さんにお水を飲んでもらうには?
とはいっても、相手は猫さんですから、なかなか素直にお水を飲んでくれるとは限りません。そんなときは、どうしたらよいのでしょうか。
●いつでも水が飲める状態にしておく
●器の材質を変える
●台で器を高くする
●器は常に清潔に
●ウェットフードを導入
●流水を与える
●白湯にする
いろいろ工夫して、猫さんには、ずっと健康でいてもらいましょうね。
猫とも新聞本誌では、さらに詳しく「猫さんと水」についてご紹介しています。興味を持たれましたら、ぜひ年刊購読をお願いします♡。
記事協力 / 猫とも新聞
2022年7月22日更新